約10年ぶりに地元へ行った。といっても時間の都合で地元近辺を電車で通った程度だけど、なんとも言えない懐かしさがあった。先祖代々住んでいる土地でもなく、親も転勤で引っ越しているし友人もおそらくほとんど出ているから歩いていどの期間過ごした土地、というだけだけど幼少期から思春期の十数年を過ごした場所は、振り返るとそれなりに思い入れがあったみたいだった。
当時は何もないのんびりとしたところだったけれど、今はだいぶ再開発が進んでいてとても立派なかんじになっているそう。嬉しいことだけど、もう私がしっている場所じゃなくなっている気がして本当は懐かしいんじゃなくて寂しいのかもしれない。別に良い思い出がたくさんつまっているわけでもなく、どちらかというと息苦しさを感じていた日々だったのだけれど。
今月末、仕事でまた方面に行く用事があるから今度こそ行ってみようかなあ。
これから私はどこに長く住むことになるんだろう。仮に地元より長く住むとして、将来振り返ったときに思い入れを持つんだろうか。仕事で忙しくして淡々と過ごしているだけの土地に?でも当時も学校に通って淡々と過ごしていただけだった気がする。変化に富んだ生活をしていたわけでは決してなかったと思う。けど塾に送ってもらう車の中から見たどんどん流れていく桜並木とか新緑とか、夏の夕方の感じとか、通学路につもってあまい匂いがする落ち葉とか、霜柱を踏んだときの感触とか、鮮明に覚えていてたまらなくなる。いま家から見えるのはコンクリートばかりだからそう思うんだろうか。
でも私、きっと地元のこと大して知らない。中学から少し離れた学校に通っていたし、週末も友人と外で遊び回るタイプではなかった。今年の地元で有名だったらしい喫茶店が閉店したとき、SNSで友人たちが思い出いっぱいだったのに、、、みたいなコメントをしていたけれど、そもそもそのお店知らなかったし。ぽつぽつと映画館の場所とかミスタードナッツの場所とか通っていた塾の場所とか、その程度。けど、塾に行く途中の夕焼けは鮮明に覚えている。わたしは昔からそういうところがある。
当時は賃貸に住んでいた。そして最近、老朽化で取り壊された。今思えばひどい家だった。家族4人で住むには狭すぎたし、お風呂はバランス釜だった。コンビニもスーパーもドラッグストアも車じゃないと行けない距離で、駅からはバスで30分だった。それでも当時はその環境が普通でなんの疑問も持っていなかったし、今もう一度住めと言われたら住めると思う。